


ワンルーム|コンバージョン|3doors
大阪の下町に建つ店舗付き住宅の3階にあったワンルームマンション3戸を一戸の住宅にコンバージョン(用途変更)した。クライアントは、30代のご夫妻で、冬山でのキャンプや自転車、モノ作りを趣味とし、暮らしの中にもそうしたアクティビティーが可能なスペースを要望した。
3戸のワンルームの間仕切り壁を全て撤去し、3つの玄関ドアだけを残した。3つのドアは、風、熱、光、匂いを運び、開け放たれたドア越しに屋根、外壁、手摺、室外機、窓、樹木、サインなどの時を刻んだ見慣れた風景の断片が見え隠れする。
3戸のワンルームは、3つのルームに変化した。3つのルームに挟まれたスペースは、素材も断熱などの機能的にも「外」としてつくられている。「外」スペースは、3つのドアに接続されることで、より「外」を意識させらるアクティブなスペースとなっている。
ご夫妻は、寒い冬の日、ここでテントを張り、小さな薪ストーブに火を入れる。ランプの灯りが揺れる中で熱いコーヒーを楽しみ、ダウンジャッケットを着てハンモックで揺られてうとうとしている。
ワンルームマンションという超閉鎖的なスペースが残された3つのドアの意味を見直すことで、環境や記憶、体験と応答するオープンな場に生まれ変わった。